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【 高齢化で罹患人口の増加が懸念、アルツハイマー予防の最新報告 】

世間のより深い認識を促すため――と1994年、自らアルツハイマー病である ことを公表した第40代米大統領、ロナルド・レーガン氏が5日、死去した。 93歳だった。中高年の寿命の延びに平行し、アルツハイマー病の発症率は 今後さらに増えるものと予想される。しかし、根本的な治療法はないのが 現状だ。そこで病気の症状が出る前に予備軍を探し出し、メンタルエクソ サイズやサプリメントで予防する――このコンビネーションが今注目され ている。

長寿に伴い、アルツハイマー罹患率3倍に

現在、アメリカにおけるアルツハイマー患者数は推定460万人。医療の進歩 などによる平均寿命の延びに伴い発症率は増加しており、2050年には1600 万人に膨れ上がるものと予想されている。ちなみに、世界保健機関によると、 患者数は現在、世界で推定3700万人といわれる。

エコノミストらの推定では、アメリカで年間、少なくとも1000億ドルが アルツハイマー患者の介護に使われているという。また、介護のため家族 が仕事を休むことによる、経済損失は約610億ドルにのぼるとみられている。

発症は通常、60歳を過ぎたころから。65歳以上になると発症率は5年ごとに 2倍増となる。64歳から74歳の約5%、85歳以上になると半数が発症している。 しかし、ごく稀だが30代から50代にかけて発症することもあり、若年性ケ ースは遺伝性要因が強いといわれる。65歳以降に発症する老人性アルツハイ マーの原因は不明。

アルツハイマー病は若いころからはじまっている

実は、アルツハイマー病につながる脳の変異はすでに若いころから始まって いる――そんな研究報告が昨年末に発表された。

アリゾナ州フェニックスにあるバナー・グッドサマリタン・メディカル センターの研究報告で、アルツハイマー病の危険因子といわれる変異した APOE遺伝子を持つ12人の脳をスキャンしたところ、すでに発症した患者と 同じようなグルコース代謝の低下が見られたという。対象はいずれも発症 していない20歳から39歳。

研究員らによると、グルコース代謝の低下がアルツハイマー病の発症に 直接関与しているかはまだ明らかではないものの、脳の変異は発症の数 十年前から起きている可能性が高いという。

メンタルエクソサイズと食事で脳のシェイプアップを図る

現時点では、アルツハイマー病が発症した場合、薬で進行を少し遅らせる ことができたとしても、症状を改善したり完治することは望めない。そこで 注目されているのが、どうしたら予防できるかということ。 米国で話題の最新の予防法を紹介しよう。

まずは、最新の検査法で脳の年齢をチェックし、メンタルエクソサイズと 食事で脳のシェイプアップを図るというもの。 最新の検査法とは、P-300電気生理学検査と呼ばれるアルツハイマー病検査 で、症状のまったく出ていない状態でも発症の危険信号を察知できる。頭と 脊柱に電極をつけ、脳波のちょっとした変化から発症の危険を検査すること ができる。

かかる時間はわずか15分、信頼性はかなり高い。心臓病の予防でコレステ ロール値を検査するのと同じように、近い将来、脳の健康のため50を過ぎ たら「P-300検査」が当たり前に――そんな指摘もあるほど。すでに使用 している神経科医も少なくない。

栄養成分では葉酸やオメガ3系脂肪酸が注目

脳の年齢チェックで実年齢を上回る脳の老化が発見されたら、メンタル エクソサイズが必要だ。クロスワードパズルやトランプをしたり、本を 読んだり、文章を書いたり、楽器を演奏して頭を使う。テニス、ゴルフ、 水泳、ダンスなど体を動かすことも脳の刺激になり予防に役立つ。

ある研究報告によると、こういったアクティビティーを週に1度やっている人は、痴呆 になる危険が7%ほど減るという。また、回数を増やすことにより最高 63%まで脳機能低下のリスクを下げることができるという。 そしてバランスのいい食生活。とくに、葉酸とオメガ3系脂肪酸を豊富に 摂ることが予防の鍵といわれている。

54歳男性のこんな例が報告されている。周囲はまったく気付かなかったが、 男性本人は、頭の切れの悪さがちょっと気になった。そこでP-300検査を受 けたところ、脳の年齢は68歳、アルツハイマー病になりかかっていると診断 された。そこでメンタルエクソサイズと食事による予防をスタートした。 その結果、脳の年齢が32歳に若返ったという。

ビタミンCとEを一緒にメガ投与でアルツハイマー病の発症率が約64%低下

次に注目されているのが、大量のビタミンCとEを一緒に摂る方法。 米神経学会誌「アーカイブ・オブ・ニューロロジー」1月号に掲載された 研究報告によると、大量のビタミンCとEを一緒に服用するとアルツハイマー 病の発症率が約64%低下するという。

調査対象は、ユタ州に住む65歳以上の約5000人。その結果、400国際単位 (IU)以上のビタミンE、500mg以上のビタミンCを一緒に服用している人の 発症率は、そうでない人よりも6割ほど低いことが分かった。

CとEのメガ投与による抗酸化作用で、アルツハイマー病を予防したものと みられている。ただし、予防法として確立されるには、さらに研究が必要 といわれている。

この他にも、定番ブレインフードのギンコ、Curcumin、ぶどうの皮に含ま れるResveratrol、緑茶とブラックティー、ガーリックの抽出液が予防サプリ メントとして期待されている。

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