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【 流出する栄養素〜なぜ現代人に栄養補給が必要なのか 】

衣食に満ち足りた先進諸国の人々を一見すると、栄養補給が十分に足りている ようにも見える。現代人にサプリメント補給の必要性を訴える企業の言葉も何 やら商業主義の匂いばかりして、真に栄養補給が必要なのか疑念にもかられる。 コマーシャリズムに乗せられて、必要と思わされているのではないか--。

電子レンジで、野菜の中の抗酸化物質が破壊

90年代後半、米国での代替医療ブームでサプリメントに人気が集まり市場が 毎年2ケタ台の拡大を辿った。その後、有効性の検証や医薬品との相互作用が クローズアップされ、2000年度を境に市場はこれといったドル箱商品も登場す ることなく、迷走状態を余儀なくされた。さらに米国では一般食材からの栄養 補給で十分とする風潮もみられ、その後の健康食品市場の低迷ぶりはサプリ離 れの進行を物語るかのようだった。

本当に現代人に栄養補助は必要ないのか。その疑問に答えるある研究結果が 先頃報じられた。加工食品が食卓に多く上る中、すでに現代人は栄養素の欠落 を肌で感じてはいる。しかし、それに加えて文明の利器である調理器具でさら に栄養成分が削ぎ落とされているという。流出する栄養成分について報告する。

健康維持は一般食材からの栄養補給で十分得られるとする栄養学者への反論と してサプリメント製造業者は、昔と違い土壌や栽培条件の劣悪化を挙げる。 つまり、農薬被害や安全性不安が残る遺伝子組み換え栽培などだ。これに合成 化学添加物が引き合いに出されることもしばしば。これらは、活性酸素の異常 発生に加担し、疾病の引き金となる諸悪の根源で、これにより現代人の身体は 蝕まれるという結論を彼らは用意している。

最近、こうした彼らの理論武装にもうひとつ強い味方が加わった。 栄養学者のみならず、一般の生活者も、野菜が健康を維持するためにどれほど 有用なものであるか疑うことはない。野菜の持つ抗酸化作用は現代人の健康 維持の大きな拠り所となっている。

しかしながら、この野菜の抗酸化作用が現実にはほとんど期待できないものに なっているという。現代人が重宝がる電子レンジで野菜に含まれる抗酸化物質 がかなり破壊されるというのだ。

最近、Journal of the Science of Food and Agriculture'03/11月号に 掲載された記事によると、スペインで行われた研究で、ブロッコリーを電子 レンジにかけるとそれらに含まれるフラボノイドが97%、sinapicは74%、 カフェオイルキナが87%失われることが分かったという。

ブロッコリー以外の野菜についてもこうした損失は同様に推測される。 ちなみに、通常の調理法でも、フラボノイドは60%ほど破壊されるという。 栄養成分は熱でも損失することはよく知られる。食物繊維については影響は みられないが、湯がくことで、抗酸化物質は20〜30%損失する。また、 にんじん、エンドウ、ブロッコリーなどに含まれるビタミンCは30%ほど失われ る。ほうれん草にいたっては、湯がいている間、カリウムが40%、葉酸70%が 失わるという。

健康フリークの間で人気の未精白食品

米国の健康フリークの間では、未精白食品が人気だ。食品に 人口的な処理を施すことで、例えば今では誰もが重要な栄養素と認識する 食物繊維やミネラルが欠落しがちだ。その最たるものが、穀類。前述の野菜 同様、健康維持のための基本食ともいえる穀類だが、精白されることで貴重な ビタミン・ミネラルが削がれ、健康に好ましくない状況が生じているといわ れる。
例えば小麦の場合、全粒小麦粉を精粉すると消滅する栄養素および食物繊維 は以下の通り;

カルシウム60% クロム40% コバルト89% 銅68% マグネシウム85%  モリブデン48% リン71% カリウム77% セレン16% ストロンチウム95% 亜鉛78% ビタミンB1/B2/B3 72〜81% ビタミンB6 72%  パントテン酸50% 葉酸67% ビタミンE 86% リノール酸95% アルファ・リノール酸95% プロテイン33% 食物繊維95%。

精米の場合、玄米に比べ各必須ミネラルが26〜83%消滅する。ちなみに砂糖 では精糖により83〜100%消滅するという。 食品の栄養成分が日頃から過不足なく摂れることが健康維持に望ましいわけだ が、現実にこうしたビタミン・ミネラルの補給をきちんと行うことは医療費 の節約に繋がる。

最近の、The Lewin Groupの調査によると、65歳以上の高齢者に毎日ビタミン 剤を与えると、心臓発作による入院費が5年で約24億ドル節約できるという。 1998年の8万人の看護婦を対象にした調査でも、毎日ビタミン剤を飲む グループは心臓発作の危険性が24%低下していることが明らかになっている。 この他にも、総合ビタミン剤を長期にわたって摂ると、結腸がんの危険性が 低下するという報告が、American Journal of Epidemiology最新号で報じら れている。

アトランタの研究グループが、14万5千260人を対象に調べたもので、半数は 総合ビタミン剤を摂取していないと回答しており、8%が過去に定期的に (週に4回以上)摂取、19%は定期的に摂取しているが最近始めたばかりと 答えている。調査の結果、10年間定期的に総合ビタミン剤を摂取した場合のみ、 結腸がんの危険性が30%低下していたことが分かったという。

色の濃いジュース、鉄分の有用性を阻害

なぜ、サプリメントによる栄養補給が必要なのか----。 このことをあらためて考え直した時、やはり、上記のような栽培条件の劣悪化、 さらに精白・加工で、ビタミンや抗酸化成分が削ぎ落とされ、そのうえ調理 機具や調理でも損失することから、現代人にサプリメント補給は必然という 結論が導き出されよう。

そればかりではない。さらにいうなら、栄養成分の摂り合わせという問題も ある。相性の悪い食品の組み合わせだと、栄養素を体内で有効利用できない。 例えば、2002年12月、Journal of Agriculture and Food Chemistryに 掲載された記事によると、色の濃いグレープジュースを飲みすぎると、鉄の 吸収が悪くなるという。

グレープジュースの場合、鉄の有用性が67%、 プルーンジュースでは31%減少することがわかったという。一方、色の薄い、 例えばりんご、オレンジ、グレープフルーツ、白グレープジュースなどは かえって有用性が上がることがわかったという。 また、ライフスタイルにおいて、ストレスなどでビタミン・ミネラルの流出 や不足が引き起こされる。

現代人は、1日中コンピューターの前で、ネットやゲームで過ごすことが多く 戸外での活動時間が大幅に減少している。そのため日光に当たる機会も少なく なり、必然的にビタミンDも不足がちとなる。

New England Journal of Medicine誌に掲載された研究報告では、調査対象 の290病院の患者のうち57%がビタミンD欠乏を示していることを明らかになっ たという。

菜食主義者はビタミンB12不足が懸念

さまざまな要因で、現代人に栄養素の流出や不足が生じ、深刻化していると いわざるを得ないようだ。
この他にも、年齢、疾病、ライフスタイルから栄養補給の必要性を挙げてみた。

■乳幼児;エネルギーや栄養素が十分に必要な時期。乳幼児にとっては生命の 危険を伴う疾患である出血性疾患は、ビタミンK不足などが関与。鉄、葉酸、 ビタミンC、銅、亜鉛、ビタミンAの欠乏には留意する必要がある。

■妊娠・授乳期;「2人分の栄養」補給が必要といわれる。つわりなどの変調 で食事ができなくなるケースも多いが、妊婦は葉酸不足に陥らないよう気を つける必要がある。母親が菜食主義の場合、乳児がビタミンB12不足に陥る ケースも多々見られる。

■慢性疾患;慢性疾患患者では栄養素を吸収しにくくなっており、脂溶性ビ タミン類、ビタミンB12、カルシウム、鉄の吸収がうまく行われない。肝臓 疾患患者ではビタミンA、ビタミンB12の蓄積不全となり、プロテインの代謝 やエネルギー源に支障をきたす。また、腎臓疾患者はプロテイン、鉄、ビタ ミンD欠乏が進む。また、栄養素との関連がいわれているADD/ADHD(注意力 欠如傷害/多動性注意力欠如傷害)については、子供の患者では亜鉛の血中 濃度が他の子供に比べ低いという研究報告も発表されている。

■菜食主義者;魚、肉など動物性食品を全く口にしない純粋菜食主義者はビ タミンB12不足が一番心配される。一方、卵や乳製品のみを食べる菜食主義者 はovo-lacto vegetarianと呼ばれるが、心配なのは鉄分不足だけである。 また、かえって肉類などを普通に食べるより健康的だともいわれる。だが、 カルシウムや鉄、亜鉛などが少なくなりがちである。

■ダイエット;肥満が過半数を占めるアメリカでは、ダイエット熱も高い。 ビタミン、ミネラル、プロテイン不足に陥りやすい。1日400キロカロリー 以下に抑える低カロリーダイエットは健康維持が難しくなる。

■アルコールや薬物依存;重度のアルコール中毒患者は体内組織、特に消化 器官、肝臓、すい臓、脳、抹消神経組織などに傷害が生じる。アメリカでは、 チアミン欠乏の主因としてアルコール中毒が上げられるほどである。その他、 マグネシウム、亜鉛などの栄養素欠乏に陥る。

Institute of Nutrition and Food Scienceなどの研究グループは、 Central Drug Addiction Treatment Hospitalで治療を受けている薬物 中毒患者253人の栄養状態などを調べた(1998年6月―1999年7月)が、この 結果、薬物中毒によりBMI(Body Mass Index)、ヘモグロビン、血清中の 総プロテイン、アルブミン値が非常に低いことが分かった。

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