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【 FDAお墨付き飲料からダイエット飲料まで、機能性飲料続々登場 】

今米国で飲料水の常識が変ろうとしている。ダイエット効果のある 「Skinny Water」をはじめ、ミネラルたっぷり、ビタミン補強といった 機能性ウォーターが次々と登場している。水はもうノドの乾きをうるおす だけのものではなくなった。更年期の症状を緩和する、疲労を回復する、 フリーラジカルによるダメージを防ぐといったサプリメント的な効果も 求められている。そのうちごく普通のボトル入りウォーターを飲む人が いなくなるのでは――そんな声も上がりはじめたほどだ。米国健康飲料市場 の近況を報告する。

米国食品医薬品局(FDA)お墨付きの「Trinity」

米国食品・医薬品局(FDA)のお墨付きでミネラル・サプリメントとして販売 され話題をよんだボトル入りウォーター「Trinity」。 アイダボ州に拠点を置くTrinity Springs社の商品で、1998年の発売以来、 着実に売り上げを伸ばしている。2000年には自然食品店におけるブランド別 売れ筋ランキングで、ボトル入りウォーターの老舗「Evian」(11万1434ドル) から約1万7千ドル差でトップの座を奪いとった(サンフランシスコの SpinSCAN data調べ)。

水源はアイダホ州のTrinity Mountains。地表から深さ2.2マイルあたりに ある花崗岩の断層から涌き出る水は、16000年もの間、華氏300度近くで沸騰 し続けているという。この水を地上の外気にさらすことなくパイプで、水源 から直接ボトルに収める――これが同社の重要なコンセプトだ。

自然食品業界紙「ナチュラル・フード・マーチャンダイザー」の中でマーケ ティング・ディレクターのステーシー・ケリー氏は「ボトルのキャップを開 けた時、水は16000年ぶりに外気に触れるわけです」と話している。

徹底的な水質検査の結果、浄化も殺菌もせずそのままボトル詰めが可能、 さらに天然ミネラル「フッ化物」と「シリカ」を豊富に含んでいることから、 FDAよりサプリメントとしての販売許可も下りた。

店内では普通のボトル入りウォーターのコーナーに置かれているが、フッ化物 の濃度が高いため、「九歳以下の子供と妊婦は一日に4オンス以上は飲まない ように」というラベル表示がついている。

水源がいかに汚染されていないか――それが今、消費者の最大の関心となって いる。Trinityのスローガンでもある「Source Matters元が肝心)」が、 消費者の心をつかんだといえそうだ。

ゲーターレード社の機能性ウォーター、初年度の売上げ1億ドル超える

巨大な水滴がポトリ、ポトリと落ちる。その中に、テニス、陸上といった スポーツ選手の姿が……。そんなアイキャッチの強い30秒TVコマーシャルで 脚光を浴びた「Propel Fitness Water」。

スポーツドリンクの老舗「ゲーターレード社」の商品だけあって、そのネーム バリューで消費者の購買意欲を一気に勝ち取った。2001年に発売され、初年度 の売り上げが1億ドルを超えたという超ヒット商品だ。食料品店およびコン ビニにおける機能性ウォーター売り上げのなんと60%を占めている。

インフォメーション・リソース社の調べによると、食料品店とコンビニでの 機能性ウォーターの年間売り上げ伸び率は124%で、Propelは193%とその ペースをはるかに上回る。

ビタミンを補強し、ベリー、レモン、オレンジといったフレーバーでほんのり 味をつけ、8オンスにつき10カロリー。激しい運動による脱水症状を防ぐほか、 エネルギー・アップ効果があるという。

ダイエット効果で人気呼ぶ「Skinny water」

ダイエット効果で人気を呼んでいるのが、ピースマウンテン・ナチュラル・ ビベレージ社の「Skinny water」。マグネシウムを豊富に含んだスプリン グ・ウォーターに、クロム、L−カルニチン、ルボース、天然電解物質の ほか、食欲を抑制するというハイドロキシシトリックが配合されている。

ハイドロキシシトリックは南インドに生息するガルニシアの実の皮からとれ、 Skinny Waterの主要成分。ただし、動物実験でのダイエット効果は証明 されているものの、臨床実験による裏付けはない。また、リボースは主に RNAから得られる五炭糖で、エネルギーを高め、体脂肪を減らすほか、仕事 やエクソサイズで疲れた体の回復力を高める働きもあるという。

コカコーラ社のビタミン、ミネラル配合飲料など新商品が目白押し

とにかくホットな機能性ウォーター市場だけあって、この他にも目まぐるし く新商品が登場している。ちょっと気になる商品をいつくか挙げてみた。

・Aquafina Essentials
ペプシコ社の商品。カルシウム、鉄分、葉酸を配合。

・Dasani Nutriwater
コカコーラ社の商品。ビタミン、ミネラル配合。 

・Dannon Fluoride to Go
ダノン社の商品。子供をターゲットにした8.2オンスのフッ素入りウォー ター。

・Pulse
医療品メーカーのバクスター・インターナショナル社の商品。前立腺の トラブル防止のほか、更年期の症状緩和を謳った、リコピン、大豆 イソフラボーン入りウォーター。 

・Glaceau Vitaminwater
エネルギー・ブランド社の商品。

・Penta water
製造元はバイオ・ハイドレーション・リサーチ・ラボ社。特殊浄水技術を使い、通常の水よりも粒子の細かいPenta waterを製造。普通の水よりも 体内への吸収率が高いうえ、細胞の生存率を高める。また、フリーラジカルによる細胞のダメージ防止および修復といった効果が科学的に立証されている。

機能性水売上げ快調も、市場規模推定2億ドル

一方、ソーダ水の売り上げは低迷気味だ。また、これまで脚光を浴びていた スポーツドリンクもやや横ばい状態。そんな中、飲料水業界の期待は機能 性ウォーターにかかっている。

インフォーメーション・リソースによると、昨年の機能性ウォーターの売り 上げは推定2億ドルとまだまだ小規模。しかし、飲料水市場に本格的に参入 してまだ2年ほどの新商品カテゴリーとしては、なかなか好調な滑り出しだ という。

ちなみに、ボトル入りウォーターの年間総売り上げは約70億ドル。 今のところ「機能性」の欠点として、普通のボトル入りウォーターに比べ、 ビタミンなどの味隠しにほんのり甘味がついていることからカロリーがやや 高め、値段も少々高い、さらにサプリメントをとっている場合の過剰摂取、 薬との飲み合わせなどが指摘されている。そういったハードルを乗り越えて、 70億ドル市場にどう食い込んでいくかが注目されている。

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