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【 米国における老化防止<アンチエイジング>市場の今 】

アメリカに少なくとも7,800万人いるといわれるベビーブーム世代。その世代が 中高年にさしかかった今、アンチエイジング市場に熱い視線が注がれている。 とにかく人一倍若返り志向が強いのがアメリカのベビーブーマー世代。肌の ツヤ、見た目の容姿、頭は常にシャープで、さらに性欲も、と----ベビー ブーマー世代は、若返りのためならばどんな労力も惜しまない、さまざまな アンチエイジング商品を試してみようと、チャレンジ精神も実に旺盛だ。 そんなベビーブーマー世代の注目を集めているダイエット法、抗酸化サプリ メントなど、米国のアンチエイジング市場の現況を報告する。

カロリー摂取量を減らし、必要な栄養素はしっかり摂る「アンチエイジング・ダイエット」法

長生きしたければカロリー摂取量を減らせ――。米国で今注目の老化防止法 「カロリー制限ダイエット」。体に必要な栄養素はたっぷりと、しかしカロ リーの摂取は控えめにすることで、老化をスローダウンさせるという話題のアン チエイジング・ダイエット法だ。

一体、どのようなものか--------。
まず自分のベスト体重を決める。カロリーの摂取量をどの程度でキープするか により、カロリー削減率を何%にするか設定。少なくとも一年ぐらいかけて徐々 に削減していくのが望ましい。設定したカロリーは、穀類、野菜といった体に 必要な栄養素をたっぷり含んだ食品で摂り、カロリーの高い飽和脂肪は極力 避ける。必要に応じてビタミン、ミネラルのサプリメントのほか、オメガ3系 脂肪酸、プロテインを摂る。

要はカロリーの摂取量を減らす一方で、必要な栄養素はしっかり摂る。ただし、 ごく普通のカロリー摂取量から50%を超えて削減すると、どんなに栄養素を キープしようとしても栄養不良になる恐れがあるため危険だ。また、成長期 および妊娠中は控えるようにとのアドバイスもある。

ところで一口にアンチエイジング・ダイエットといっても、一体どのような 効果があるのか。報告されているいくつかの老化防止効果を挙げてみると、

● 老化の原因といわれるフリーラジカルを抑える働きがある。
● 老化による免疫力の低下を改善する。
● 血糖値およびインスリン値を下げる一方、グルコース・インスリンの代謝を改善する。
● 老化を防止する働きがあると思われる体内中のある種のプロテインの値を上げる。
● 体が老化でダメージを受けたDNAを修復する働きを助ける。
● 老化によるメラトニン値の減少を抑える。

2,000件を超える研究の結果、「寿命を劇的に延ばし、老化と関係深い疾患の発症を遅らせる」と結論

現在、人間の寿命は最高で110歳から120歳といわれている。前述の老化防止 「カロリー制限ダイエット」法を行えば120歳のハードルも越えられるかもしれ ない――そんな期待を寄せている雑誌記事にもしばしばお目にかかる。 気になるのが科学的な裏付けだが、老化防止を謳うこのダイエット法、なにも ここ最近の研究成果によるものではない。

初めて研究が行なわれたのはニューヨークのコーネル大学で、さかのぼること 1935年。これを皮きりに、数々の実験が行なわれた。そして、老化専門の 研究者らは、2,000件を超える研究結果を分析した結果、このダイエット法が 「動物における寿命を劇的に延ばすほか、老化と関係深い疾患の発症を遅らせ る」と結論付けた。

また、1999年の「ジャーナル・オブ・ニュートリション・ヘルス・アンド・ エージング」では、「カロリー制限ダイエットの老化防止効果は、生命のある すべての種に一般化することができるかもしれない」といった記事を掲載して いる。

また、2002年7月29日付シカゴ・トリビューン紙でも、「科学者らがカロリー 制限ダイエットに長寿を左右する遺伝子を誘発する働きがあるのではと、指摘 している」といった内容を報じている。

ただ、残念ながら今のところこの同ダイエット法による老化防止のメカニズム そのものについては、はっきりとしたことは分かっていないとのこと。

アンチエイジング関連売り上げ、2002年は427億ドルに

コンサルティング会社FIND/DVPによると、米国でのアンチエイジングを謳った 商品およびサービスの2002年総売り上げは427億ドルを超えると推定される という。さらに、今後5年のうちに50%近く売り上げが伸びる可能性があると 予想されるという。というのも、1995年から2010年にかけて米国の45歳以上の 人口増加率は38%といわれているため。ちなみに総人口の増加率はわずか13% と中高年増加率の3分の1にも満たない。

アンチエイジング市場の中でもホットな商品というと「アンチエイジング・パ ーソナルケア商品」。市場調査会社「ビジネス・コミュニケーションズ」による と、2001年のアンチエイジング・パーソナルケア商品の売り上げは約67億ドルで、 2006年までに87億ドルに膨れ上がると予想されている。

ちなみにシワについて別の市場調査会社「ハリス・インターアクティブ」が、 ベビーブーマー世代の女性1200人を対象に行なった調査によると、気になるシワ のトップが「目の回り(68%)」、そして「おでこ」「口の回り」と続く。また、 対象の16%が「シワ予防の効果があるのはモイスチャライザー」、6%が「シワ 予防クリーム」と答えている。

この他、エイジ関連のサプリメント市場における稼ぎ頭は、関節、骨、記憶力、 性欲、更年期をターゲットにした商品。ちなみに、健康関連業界紙「ニュートリ ション・ビジネス・ジャーナル」によると、2000年の関節サプリメントの売り 上げは9億5千万ドル、骨強化サプリメントは6億7千万ドル、記憶力改善サプリ メントは3億5千万ドル、更年期サプリメントは2億3千万ドル、性欲増進サプリ メントは8千万ドルだった。

別の調査では「消費者は意外と冷ややか」と分析

このようにアンチエイジング市場が活況を呈しているなか、一方で、意外と冷 ややかな消費者の状況を伝えている調査結果もある。

前出の「ハリス・インターアクティブ」が全米の大人1,010人を対象に、アン チエイジングを謳った医薬品およびサプリメントに関して電話で質問したところ、 「そういう商品のあることを知っている」と答えたのが約半数、「実際に老化 防止の効果があると思う」に「イエス」と答えたのはわずか7%だった。ただし、 約55%が「ビタミンやミネラルといったサプリメントに老化を防ぐ働きがある 程度はある」、約46%が「ハーブにある程度はある」と、それぞれ答えている。

老化防止で根強い人気は抗酸化サプリメント

若返りダイエットが注目される中、老化防止の定番商品といえば抗酸化サプリ メント。老化の敵、体の酸化を防ぐ商品は相変わらずの人気だ。そのトップは なんといっても複合ビタミン商品。中でも、複合ビタミンB、ベータカロチン、 ビタミンA、C、E、K、カルシウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、 亜鉛などを含むマルチサプリメント。

また、最強の酸化防止といえばビタミンA、C、E、とセレン。ただし、セレン の摂りすぎは下痢、吐き気、疲労といった副作用があるため要注意。 赤ワイン、チョコレート、アップル、ベリーなどに含まれるoligomeric proanthocyanidins(OPCs)も抗酸化効果の期待の星だ。このサプリメント、 自らフリーラジカルを攻撃する傍ら、ほかの抗酸化物質の働きをパワーアップ する役割も果たすという。また、alpha lipoic acid(ALA)も同じく「オフェ ンス」と「アシスト」の一人二役をする。さらに、肌を若々しく保つ効果も あるというから、飲んで良し、塗って良しという優れもの。

また、ヒトの成長ホルモン(HGH)を医者に注射してもらうという若返り療法 のホメオパシー版も静かなブームを呼んでいる。医者に行く手間が省けるうえ、 費用も安く済む。ちなみに医者へ行ってのHGH療法は月に最低でも800ドルほど。 いくつかのホメオパシーHGHと偽薬のダブル・ブラインド調査によると、ホメ オパシー組は、体脂肪の減少、筋肉増強、体力増強、関節の腫れ改善、熟睡、 精神面の改善といったポジティブな結果が報告されているという。 

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