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2005年版「米国栄養ガイドライン」発表 米国では、過食や脂肪分の摂り過ぎで肥満が社会問題となっているが、 それに伴い引き起こされる生活習慣病の対策が急務となっている。先頃、発表された 「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」の概要は、食事と運動 で生活習慣病を予防する――というものだが、「健康のためにまず食生活の改善を」ということから、穀物や魚の摂食を重視、「米国版和食のすすめ」ともいえる内容となっている。
健康管理のために未精製の全穀物を推奨
米国では健康を気づかう人々の間で、未精製の全穀物が静かなブームとなっている。とはいえ、まだまだマイナーな食品だ。全穀物パンは見た目が悪い、値段が高い、
口当たりが悪い、味がいまひとつ、といった理由で、白パンを好む人々のほうが圧倒的に多い。アメリカ人は総じて全穀物が嫌い――そう言い切る食品業界関係者も少なくない。 しかしながら、そうも言っていられないような状況に米国は差し迫られているようだ。増える肥満人口、それに伴う生活習慣病の蔓延化で医療費削減という目標は遠のくばかり。そこで、米国は国を挙げて未精製の全穀物フードの推奨に乗り出した。 先頃発表された「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」の内容がそれだ。今回のガイドラインでは初めて全穀物の推奨を明言した。食物繊維やビタミン・ミネラルを豊富に含む全穀物はもはや健康管理のための必需食品としての位置付けになりつつある。 「摂取カロリーの削減」「果物・野菜・全穀物の摂取」「定期的な運動」が3本柱 今年1月に米国保健社会福祉局より発表された「2005年版アメリカ人の栄養ガイドライン」は、米国民の肥満や高血圧、動脈硬化といった生活習慣病を防ぎ、より健康でいるための基準を示したもので、新たな研究データや現状を踏まえて5年ごとに改訂される。 ガイドラインは、「摂取カロリー削減」「果物・野菜・全穀物の摂取奨励」「定期的な運動」の3点が大きな柱になっている。 カロリーや脂肪分の摂り過ぎで増え続ける生活習慣病だが、これを防ぐために、カロリーの過剰摂取を避け、脂肪分を抑える一方で、植物繊維や体に 良い栄養素を豊富に含んだ果物、野菜、全穀物の摂取量を増やすことを推奨している。 摂取基準は、1日に2000カロリー必要な人の場合、果物2カップ/日、野菜2.5 カップ/日。全穀物は1日当たり3オンス以上で、穀類の総摂取量のうち、少なくとも 半分は全穀物で摂るよう推奨している。また、脂肪分については、1日の総摂取カロ リーの20〜35%に抑え、動脈硬化や糖尿病の原因といわれるトランス脂肪酸は避け、 オメガ3系脂肪酸を含む魚、木の実、ベジタブルオイルから摂るのが望ましいという。 そして、「定期的な運動」。生活習慣病の予防に有効な運動量は、1日に最低30分の 適度な運動をほぼ毎日続ける。体重が増えるのを防ぐには、60分以上。減量さらに リバウンド防止には、60分から90分の運動が望ましいとされる。 ω-3系脂肪酸多く含む魚の摂食を推奨 穀物と同様、アメリカ人の健康管理に欠かせない食材として認知されつつあるのが、 ω-3系脂肪酸を多く含むサケ、マス、ニシンといった脂ののった魚の摂食。 鬱やアルツハイマー、動脈硬化、心臓病などを予防し健康維持効果があるとされ、 FDA(米食品医薬品局)でも心臓病予防に有用であることを認めている。 ガイドラインでは、1週間に8オンスの魚の摂食を薦めている。 また、妊婦、50歳以上と対象を絞った栄養ガイドラインの項では、これまでの「食事 基準」という概念に、食事で理想的な栄養素を摂るのが難しい場合は、サプリメントや機能性食品で摂るという考え方を加えている。 たとえば、出産 適齢期にある女性は、葉酸を含む食べ物に加え、1日当たり葉酸400マイクログラムを サプリメントまたは機能性食品で摂るようアドバイスしているほか、50歳以上の人に ビタミンB12、女性に鉄分、高齢者にビタミンDのサプリメントを摂るようそれぞれ薦 めている。
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