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健康的な生活のための「食」の新ガイドライン(米国)

9月5日にNational Academies’ Institute of Medicineから、アメリカ人は脂肪や炭水化物のバランスに柔軟性を持たせた食生活を送るべきという新ガイドラインが発表された。

1989年以降、6回目の改訂

米国では1989年にRecommended Dietary Allowances(RDA、1日推薦栄養摂取量)が発表されて以来、現在までに栄養摂取ガイドラインは部分的に更新され、今回は6回目にあたる。

9月5日にNational Academies’Institute of Medicineから発表された新ガイドラインでは、エネルギー、炭水化物、脂肪、脂肪酸、食物繊維、コレステロール、プロテイン、アミノ酸の摂取事項を改訂している。

ガイドラインの検討を行った専門家は「栄養を一つ一つ離して考えるのではなく、相互作用を考慮してまとめて検討するべき。例えば、脂肪を非常に少なくする代わりに炭水化物を多く摂ると、HDLつまり善玉コレステロール値が下がる。反対に、高脂肪の食生活は肥満を引き起こす。そうしたことから、推薦量の範囲もこれまでより幅を持たせ、フレキシブルにした。これなら、食の好みに合わせ選択の幅も広がり、従いやすいガイドラインだと言える」と自信を表わす。

炭水化物は従来の50%以上から45〜65%に

慢性疾患に罹る危険性を最小限にしながら1日に必要なエネルギーや栄養素を得るために、成人は炭水化物から摂取するカロリー量を全体の45〜65%に、脂肪は20〜35%、プロテインは10〜35%としている。これまでは、炭水化物は50%以上、脂肪の場合は30%以下だった。プロテインは変化なし。

砂糖は総カロリーの25%を超えないよう忠告

子どもも成人もこれまでは、炭水化物を1日最低130g摂取すべきといわれてきた。新ガイドラインでは、脳が正常に機能するに必要なグルコースを作れる最低限の炭水化物を摂取するよう薦めている。また、砂糖添加は総カロリーの25%を超えないよう忠告している。

脂肪はエネルギーの主要供給源で、必須ビタミンの吸収に欠かせないものでもある。しかし、飽和脂肪を増やすとLDL(悪玉)コレステロール値を上げる結果となり、心臓病の危険性も増大してくる。

飽和脂肪は大抵、肉や乳製品に含まれており、アメリカ人の食生活からこの飽和脂肪を完全に消し去るのは不可能で、専門家はなるべく低く抑えることが望ましいと強調する。

食物繊維の摂取量を重視

また新ガイドラインでは、食物繊維の推薦量も設定した。食物繊維が少ないと心臓病の危険性を増すという研究報告が多く提出されていることから、食生活に食物繊維を取り入れることを強く薦めている。

ガイドラインに設定した成人の総食物繊維量は50歳未満の男性で1日38g、女性は25g。一方50歳以上になると男女それぞれ30g、21gとなっている。食物繊維の場合、高齢者の推薦量が少なくなるのは、食べる量が減るためという。

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