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コーヒーのカフェイン、認知症予防に有効か?【コーヒー最新研究報告】
アルツハイマー病発症の高齢マウスで実験、異常な蛋白質の沈着が減少

6月19日付けの朝日新聞によると、マウス実験で、コーヒーなどに含まれるカフェインがアルツハイマーなど認知症の改善に有用であることが分かったという。2015年になると、戦後生まれの団塊の世代が65歳以上になる。高齢者の疾患の中でも、とくに急がれているのが認知症対策だ。はたして、コーヒーが認知症予防に役立つのか?コーヒーに関する最新の研究成果を報告する。

人間換算で1日あたりコーヒー5杯分のカフェインを投与

研究では埼玉医大の森隆准教授らがアルツハイマー病を発症した高齢マウスにカフェインを投与(人間換算で1日あたりコーヒー5杯分に相当)。

結果、迷路実験で、カフェイン投与マウスは健康マウスと同様の成績を示したが、水だけのマウスは症状の改善が見られなかったという。 また、カフェイン投与マウスでは海馬や大脳皮質で異常な蛋白質の沈着が減少したという。

2015年になると、戦後に生まれたベビーブーマー、いわゆる団塊の世代が65歳以上になる。2025年には3人に1人が65歳以上になるといわれている。

高齢者の疾病対策として急がれているのが、認知症の改善だ。フリーラジカルによる脳組織の損傷や脳内でのβ-アミロイド蛋白の沈着などが発症の主因として挙げられている。

日頃からの予防策として、肉食や脂肪の摂取過多を避ける、酒やたばこを控える、ウオーキングなど全体運動、などが良いとされているが、キメ手となる有効策となると未だ手探りの状態だ。

コーヒーのアルツハイマー病への有用性については、Alzheimer's Disease誌09/1月号でも報じている。University of Kuopio研究者グループらが、Cardiovascular Risk Factors, Aging and Dementia研究データを分析。

65歳から79歳の被験者1,409人を対象にし、1972年から21年経過観察を行ったこの研究(認知症61例が記録され、うちアルツハイマー疾患は48例)によると、コーヒーを1日3〜4杯飲んだ場合、認知症およびアルツハイマー疾患を発症するリスクは、全く飲まない、あるいはそれ以下しか飲まない場合に比べ、65%低下していることが分かったという。一方、お茶の摂取には関連性は見られなかったという。

他にも、カフェインは認知機能衰退の遅延に役立つことが報じられている(Neurology誌07/8月号)。INSERM U888研究者グループが、65歳以上で認知症の徴候が見られない男性2,820人、女性4,197人を対象にコーヒーなどからのカフェイン摂取に関するデータを採取。

カフェイン100mgを1単位とし、通常のコーヒー1杯にカフェイン100mg、お茶に50mg含有とすると、女性の16%、男性の13%が1日3単位以上摂取しており、4年間の経過観察したところ、カフェイン摂取の高いグループは摂取の少ないグループに比べ、話し言葉の回復が進み、記憶の衰退もそれほどではないことが分かった。また、1日1〜2単位の摂取で、機能衰退が9%、3単位以上では34%抑制されることが考察されたという。


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