プロポリスは、ブラジルだけではなく、プロポリスに関して古い歴史を持つヨーロッパはもとより、オーストラリアや北アメリカ、中国などでも採取されています。それなのになぜ、ブラジル産がこれほど人気を高めているのでしょう。
プロポリスは採取国によって異なる
日本で市販されているプロポリス商品の多くはブラジル産です。なぜなら、日本の消費者は商品選びの厳しい目をもっており、高品質なブラジル産プロポリスの人気が高いからです。ではなぜ、ブラジル産のプロポリスは品質が高いのでしょうか。
最大の理由は、ミツバチの種類が他の地域のものとは異なるからです。ブラジルには、非常に生命力の強い混血種ミツバチが存在するためといわれています。ブラジルで新種に生まれ変わったミツバチは、まるで人間に役立つプロポリスを作るために生まれてきたような優れた種なのです。
そしてもうひとつ、ブラジル産のプロポリスが上質といわれる理由は、ブラジルの気候・風土にあります。亜熱帯で湿度が高いブラジルの過酷な自然環境のもとで、植物は否応なく力強くたくましくならざるを得ません。亜熱帯に属する沖縄の野菜が力強いように、ブラジルの植物も強力な生命力をもっているのです。
つまり、新種に生まれ変わったアフリカ蜂化ミツバチという強力で有能なミツバチが、クルシア、メイジヤ、クルシア マイナ、アラウカリア、ヘテロフイーラ、種々のバッカリスといった亜熱帯の強力な繁殖力をもつ植物群からプロポリスを生産しているからなのです。
また、ブラジル産プロポリスが人気を得ているもうひとつの要因に、ブラジルは今日でも広大な無公害エリアを保っており、それ故にブラジル産プロポリスには環境汚染などによる薬品残留がないことがあげられます。
プロポリスの原料になる植物は約400種以上
プロポリスの人気が高まり始めた1980年代後半から日本ではずっとプポリスの起源植物(プロポリスの原料としてミツバチが集める植物)はユーカリがよいといわれてきました。理由ははっきりしませんが、ブラジルの随所にユーカリが自生・植林されていることが、その根拠にされていたのかもしれません。
しかし、日本の富山医料薬科大学がブラジルのヴィソーザ大学と共同研究を行うきっかけになった、ブラジル訪問の際、同大のデジャイール・メッサージ教授は「ユーカリが主要起源植物だというのは根拠がなく、ユーカリのプロポリスがよいといっている研究者はブラジルにはいない」と言明しています。また、サンパウロ大学の研究グループも、プロポリスの原料になる植物は約400種以上と報告しています。
事実、ブラジルのミツバチはクルシア、メイジャ、クルシアマイナ、アラウカリア、ヘテロフィーラ、種々のバッカリスなどの植物からプロポリスをつくっています。
中でも、アレクリンとよばれることもあるキク料の植物であるバッカリスは、プロポリスに含まれている化合物やミツバチの行動観察から、特に重要な植物としてクローズアップされていました。そして、1999年の世界養蜂家会議「アピモンディア」で、富山医科薬料大学の門田重利教授の助手であるA・バンスコッタ薬学博士がプロポリスの起源植物としてバッカリスの重要性を報告しています。
-----ヴィソーザ大学はプロポリス研究の総本山-----
ヴィソーザ大学は南米の大国ブラジルのミナス・ジエライス州にあります。東京都江東区の面積とほぼ同じ3751万7330m2に及ぶ広大な敷地面積をもつ大学です。農獣医学系を中心に29学部が設置された有名な総合大学(工ヴァルド・F・ヴィエラ学長)です。
同大では、ブラジルでミツバチ研究の第一人者であるデジャイール・メッサージ教授(動物生態学)を中心としたグループが
ミツバチの生態や生産物の調査・研究を行う一方、ミナス・ジジェライス州の各地で生産されるプロポリスの主要成分の分析、特性評価などの研究に取り組んでいました。
プロポリス研究の転機が訪れたのは1997年。日本のプロポリス研究の第一人者である松繁克道氏が訪れて講演を行ったことからです。この講演は、ヴィソーザ大学の研究者たちを瞠目させました。というのは、ブラジルではそれまでプロポリスの体系的・実験的な研究が皆無だったからです。
講演後、刺激を受けた研究者たちは同大にプロポリス研究グループを設置して専門的な研究が行われるようになり、今では
ブラジルのプロポリス研究の総本山になっています。
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