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【 米国におけるアンチエイジング(抗老化)産業の現況 】

老化防止と若返りは人間の永遠のテーマといえる。アメリカでは、かつてのベビー ブーマー世代が中高年となり、リタイアを迎える。7,800万人といわれるベビーブー マーたちは、老化防止と若返りに関心を向け、アメリカのヘルス関連産業を牽引 している。アメリカにおけるアンチエイジング(抗老化)産業の現況を報告する。

2004年のアンチエイジング関連製品、455億ドル以上の売上げ

BCC, Incの調べによると、2004年のアンチエイジング(老化防止)製品およびサー ビス産業は455億ドル以上を売り上げ、年間の成長率は9.5%を示している。また、 2009年までに720億ドル市場にまで膨れ上がるだろうと予測されている。

FIND/SVPが行ったアンチエイジング関連製品に関する別の調査でも、「1995年〜2010年で、 一般層の販売実績が13%の伸びにとどまるところ、45歳以上の年齢層においては38% の伸びを示す」と見込んでいる。

見た目の若返り重視から、コスメ企業が参入

アンチエイジングと一言にいってもそのカテゴリは幅広い。コスメチックトリート メントや美容整形、コスメスーティカル、エクササイズセラピー、食品・飲料、 ダイエット、ビタミン・ミネラルサプリメント、デンタルホワイトニングなど様々 だ。

カテゴリごとに、老化によって変化をきたす身体各部をターゲットにしたビタミン・ ハーブ製品が続々登場している。

例えば、関節と骨の健康にフラックスシード、循環器系の健康維持にビタミンE、 エネルギー増進にジンセン、うつ病など精神機能対策にセントジョンズ・ワード、 前立腺問題にソーパルメット、更年期障害の症状緩和にイブニング・プリムローズ などだ。

だが最近の傾向として、ベビーブーマー世代は長生きすることを目標 にしているが、より若く生き生きと生活することが大切と考え、見た目の若返りを 重視する。そうしたトレンドにいち早く反応しているのがコスメ産業である。

アルファリポ酸、アンチエイジングの目玉に

化学とコスメ会社のコラボレーション、これがコスメスーティカルである。各化粧 品会社とラボラトリーのタイアップ製品ラインが今、ヒートアップしている。例え ば、エスティーローダーは皮膚専門医、カレン・グロスマンと契約、角質を取る セラピー、マイクロダーマブレーション製品を開発している。

このコスメスーティカルの中でも相変わらず、人気の高いテーマが抗酸化である。 体内の代謝過程で自然に生み出されるフリーラジカルだが、これは細胞や粘膜に ダメージを与える厄介者でもある。加齢と共に、フリーラジカルも多く生み出され るという。

皮膚のコラーゲンやエラスチン細胞がこれによって損傷を受けると、肌は弾力を失い、 簡単にシワができてしまう。このフリーラジカルを除去してくれるものが、ビタミンC、 E、Aなどに代表される抗酸化剤である。

この抗酸化剤を取り入れる製品ラインは、どの化粧品会社でも人気を保っている。 製品に使用されるのは、ビタミンCなどの代表的な抗酸化剤の他、カロチノイドの βカロチン、リコペン、ルテイン、ミネラルのセレニウム、亜鉛、銅、鉄分、 さらに、補酵素Q10、アルファリポ酸といった酵素が有名である。

特にアルファリポ酸はそれ自体が抗酸化剤であるというだけでなく、他の抗酸化剤を 長期にわたって活性化し、分解を防ぐ強力なパワーを持つため、現在、かなり注目を 集めている。

肌の名医、ペリコーン医師の著書、"The Perricone Prescription"(2002年発刊) によると、アンチエイジングの目玉成分は、アルファリポ酸とジメチルアミノエタ ノール(DMAE)のコラボだそうだ。Johnson & Johnsonの研究では、海藻成分のDMAE が引き締まった皮膚を作ると指摘している。また、細胞の粘膜を強化、安定させ、肌 の正常なトーンを保つという。

米農務省(USDA)、全体的な栄養価からセイヨウタンポポを評価

また、野菜・果物の色素成分であるフラボノイドも肌に有用な抗酸化剤である。カリ フォルニア州のEssential Oils社などの関心を集めているのが、フラボノイドの中でも 特にルイボス・レッドティー。南アフリカ原産のお茶で、鉄分、カリウム、銅、亜鉛、 カルシウム、アルファヒドロキシ酸(AHA)、スーパー・オキシド・ジスムターゼなど が含まれ栄養価が高い。

Essential Oilsでは、この他、リンデン、セージ、ココナッツオイルなどの抗酸化剤 を製品ラインに使用している。バージニア州のBetter Botanicalsは、今注目株のセイヨウタンポポを利用。これには、 ビタミンA、B、C、D、カリウム、鉄分、カルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛、銅、 コバルト、ボロンといったバラエティ豊富な栄養素が含まれる。

米農務省(USDA)は、全体的な栄養価から、セイヨウタンポポをランキングトップに評価している。 さらに、日本のスキンケア関連企業、Bosciaは、ホホバの葉、ワイン酵母などを取り 入れている。

アーティチョークやシャクヤク、日光によるダメージを改善

老化防止で大敵の一つが日光の紫外線。どのコスメ会社も、紫外線防止策のサンスク リーンに配合する天然成分で画期的なものを探している。UVA、UVBどちらも阻止する として現在有名になっているのが、シナモンから合成したoctyl methoxycinnnamate (メトキシケイヒ酸オクチル)、octyl salicylcateなどである。

また、紫外線阻止の 働きをする成分として、リコペンおよびアーティチョークの研究も進んでいる。アー ティチョークは日光でダメージを受けた皮膚の回復を早め、フリーラジカルの効力を 無効にし、さらに周辺細胞への損傷を食い止めることが指摘されている。シャクヤク エキスおよびリコリスも、研究者の関心を引いている。どちらも日光によるダメージ を改善し、にきびを防ぐという。

レモン、ローズマリー、タイム、シナモンなどのハーブに注目

老化した肌はみずみずしさを失う。水分の補給、保持も大きなテーマである。保湿剤 には昼用、夜用と2タイプがあり、昼は汚染空気やバクテリアから皮膚を保護し、夜は 栄養を肌に浸透させるもの。

こうした保湿剤には現在、ビタミンC、ペパーミント、 レモン、リコリス、ホップ、ローズマリー、ホースチェストナッツ、ローズカモミール、 レモンセージなどが配合されている。天然保湿剤として現在関心を引いているのが、 ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩(sodium PCA)。細胞内の水分を保持することが 指摘されている。

また、ヒアルロン酸も天然保湿剤として人気急上昇中。潤滑剤のように働き、肌に 滑らかさを取り戻すという。 レビバラボ社は、保湿剤に大豆細胞外マトリックスのエキスを配合。ヨーロッパで行わ れた臨床研究によれば、大豆の細胞外マトリックスには強力な細胞刺激作用があり、 肌の引き締め、並びに弾力性を促進させると指摘している。さらには、イソフラボン、 グリコプロテイン、プロテオグリカン、糖質系ポリマー、ムコ多糖複合体なども含まれ る。

Bosciaが最近、若返り製品に配合した成分が、パルミトイルペンタペプチド。アンチ エイジングテクノロジーを結集させたものと、自信を示す。

これはアミノ酸の結合体で、コラーゲン構成成分誘導体といわれるもの。肌の弾力を取り戻し、細胞の再生を促進 すると指摘されている。Better Botanicalsはハーブの力で、循環の改善を目指す。 特にローズマリー、タイム、シナモン成分に注目している。  

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